看護学部 看護学科

看護学部 3つのポリシー

 看護学部 ディプロマポリシー(Diploma policy:学位授与の方針)

看護学部においては、建学の精神である「畏神愛人」の姿勢と豊かな人間性を基盤に、保健・医療・福祉分野に貢献できる専門性として以下に掲げる知識、技能、資質、能力を身につけ、卒業に必要な単位を修得した者に学位と看護師国家試験受験資格・保健師国家試験受験資格を授与する。

  1. キリスト教精神に則り、幅広い教養と対象者の尊厳及び権利を尊重する倫理的態度を身につけている。
  2. すべてのライフステージと健康レベルに応じて、科学的根拠に基づく看護を提供するために必要な知識・技術を身につけている。
  3. 保健・医療・福祉の課題に目を向け、正しい情報に基づいた分析力と問題解決能力を身につけている。
  4. 看護専門職としての自覚と自己課題を持ち、生涯にわたって学修し続けるための基礎的能力を身につけている。
  5. 保健・医療・福祉チームの一員として看護専門職の役割を自覚し、連携・協働のために必要なコミュニケーション能力、メンバーシップ・リーダーシップの基本を身につけている。
 看護学部 カリキュラム・ポリシー(Curriculum policy:教育課程編成・実施の方針)

看護学部においては、本学の教育理念、建学の精神、教育目標を実現するための科目として「教養科目」「看護基礎科目」「看護実践科目」「臨地実習」および「保健師教育課程」を設置し、ディプロマポリシーの達成を図る観点から、各科目を以下のように配置する。

DP1 の達成に向けて

1-1  多様な知識、多様な文化や価値観を理解するため、「人間と文化・社会」「人間と言語」「人間と自然科学」「総合科目」から構成する教養科目を設定する。

1-2  教養科目の必修科目として、建学の精神である「畏神愛人」を基に人を尊重する関わりや倫理観を育む「キリスト教概論」「キリスト教倫理」を設定する。

DP2 の達成に向けて

2-1  人体の仕組みや病態を理解する専門科目の基盤として「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」「健康支援と社会保障制度」の科目を看護基礎科目として設定する。また、看護の基本的な考え方や対象理解を学ぶ「看護学概論」「対象論」「看護過程論」および各対象者への具体的な看護の知識・技術を学ぶ「看護方法論」「看護援助論」の科目を看護実践科目として設定する。

2-2  あらゆるライフステージ・健康レベルに応じた看護実践能力を育成するため、4 年間を通して多様な場や施設での臨地実習を体系的に設ける。

DP3 の達成に向けて

3-1  看護を実践するために基本となる能力、看護ケアの展開能力、看護実践の中で研鑽する能力を修得するために、「看護の実践」「看護の統合」「臨地実習」などを体系的に学修できる看護実践科目を設定する。

3-2  各科目の内容に応じた評価方法はシラバスに明記し、「姿勢・態度」「知識・技術」「思考力・判断力」「主体性・多様性・協調性」など様々な視点から学修成果の達成度を確認し、ルーブリック評価も活用する。

DP4 の達成に向けて

4-1  専門職業人として成長を続けるために必要な、主体性・継続性を養う科目を初年次教育から配置する。また、3 年次には看護研究の基礎を学ぶ「研究方法論」、4 年次には自ら設定した研究課題を調査・分析・考察する「卒業研究」を設定する。

4-2  大学における主体的学修への学習への転換ができるよう、「基礎演習」や「臨地実習」を通して自ら探索する姿勢を初年次から育成する。

DP5 の達成に向けて

5-1  チームワークとコミュニケーション能力を育成するために、地域での活動や授業内での共同学習の機会を設ける。

5-2 「臨地実習」では、看護専門職の視点や役割を深く考えるため、実習施設の指導者も参加するカンファレンスや発表会の機会を設ける。

 看護学部 アドミッション・ポリシー(Admission policy:入学者受け入れの方針)

看護学部は、建学の精神である「畏神愛人」に基づく豊かな人間性と教養を備え、科学的根拠に基づいた看護実践力を養うことで、人々の健康に広く寄与できる人材育成を目指していることから、以下に掲げる資質や意欲を有する人を求める。

  1.  入学後の学修に必要な基礎学力を身につけている人。
  2.  物事を色々な側面から考え、自分の意見を他者に伝えることができる人。
  3.  意欲を持ち、周囲と協力して課題解決に向けて行動できる人。
  4.  自分の心と身体に向き合い、健康管理ができる人。
学部長メッセージ

 弘前学院大学看護学部は、「少子高齢化」「高度化する医療福祉」「ケアへの多様なニーズ」などの社会的要請を受けて、2005年に東北地方の私立大学で初めて看護学部を開設し、看護の専門性をより高めることに邁進しながら20年目を迎えました。多くの卒業生が医療機関や行政機関で将来を担う人材として活躍をしております。

 2022年度の看護教育のカリキュラム改正では、「すべての人々が、住み慣れた地域でその人らしい暮らしが継続できるよう、地域での健康と暮らしを支える」という地域包括ケアシステムの実現に向けた人材を育成することが強化されました。看護の対象を生活者として理解する。例えば、今までの教育においても、入院時から退院後の生活をイメージして看護をすることは大切なこととして学んでいました。新たなカリキュラムでは、これまでよりもさらに地域で暮らす生活者としての理解に重点が置かれるようになりました。暮らしは、個人の価値観や信念が環境に影響されその人らしい日々を作り出します。本学では、1年次から、地域で多様な生活をしている人々の見守りや健康づくりなどを理解する実習がスタートします。

 また、1年次からキャリア教育の一環として、自らの将来を見通して大学生活の計画を立て生涯にわたって活用できるスキル(倫理的規範・スタディスキル・大学で学ぶための思考方法など)を少人数制の「基礎演習」で学んでいきます。チューター制度により、学生一人ひとりの希望や適性に合った将来を一緒に考え、学生生活や学習の支援も行います。4年次には、少人数のゼミ形式で、卒業研究論文の指導も行われます。単に、国家資格を得るだけではなく、多様な社会のニーズに創造的な力を発揮できる看護専門職の育成に向けて力を注いでいきます。

看護学部長 髙田 まり子 

本学の看護学部のカリキュラムの特徴と国家試験対策について紹介します

本学の看護学部は、看護師育成の多様なニーズに応える教育システムを提供しています。4年制大学として、高度な看護専門教育を行うとともに、2年次後期からは保健師教育課程を選択できる機会を設けており、卒業時には看護師に加えて保健師国家試験の受験資格も得られます。さらに、既に看護師資格を持つ方々のキャリアアップを支援するため、3年次編入制度を設けており、学士号取得と保健師資格取得の道を開いています。このように、本学は基礎から応用まで、そして現役看護師の学び直しまでをカバーする包括的な看護教育プログラムを展開しています。

看護学を大学で学ぶ意義は、日々進歩する医療・看護に対応した最新の研究と教育を受けられることにあります。特に本学の看護学部では、研究活動に力を入れており、4年次には約半年間かけて卒業研究に取り組みます。学生は自らテーマを決定し、研究計画の立案からデータ収集、分析、考察まで一連のプロセスを経験します。最終的に卒業論文を作成し、プレゼンテーションを行うことで、実践的な研究スキルと発表能力を身につけます。この経験は、就職後の新人教育や看護研究の場面で高く評価され、卒業生の活躍につながっています。

2022年度から導入された新カリキュラムの特徴は、大学ならではの幅広い学びと実践的な経験を重視している点です。1年次では、他学部と共同で行う教養科目や看護基礎科目が充実しており、大学教育の特長を活かしています。また、少人数制の基礎演習を通じて、大学での学習方法を効果的に習得できます。さらに、地域に根ざした看護実践力を育成するため、1年次から町内会での健康づくり活動や、難病・障害を持つ方々へのインタビューなど、実践的な実習を早期から取り入れています。これにより、理論と実践のバランスの取れた看護教育を提供しています。

新カリキュラムでは、従来の医療機関中心の実習から、地域を基盤とした包括的な看護実践能力の育成へと進化しています。1年次から地域に出向き、段階的に多様な場での実習を経験することで、変化する医療ニーズに対応できる柔軟な看護観と実践力を持つ看護師の育成につながり、看護学教育の質的向上に寄与すると考えています。

本学の看護学部では、卒業時に看護師国家試験の受験資格が全学生に付与され、さらに保健師教育課程を選択した学生は保健師国家試験の受験資格も得られます。これらの資格は卒業と同時に自動的に取得できるものではなく、それぞれの国家試験に合格することが必要です。加えて、保健師免許取得後には申請により養護教諭2種免許などの関連資格の取得も可能となり、卒業生のキャリアの幅を広げる機会を提供しています。このように、本学は学生が多様な進路選択ができるよう、複数の専門資格取得への道を開いています。

本学の看護学部は、卒業生の就職率100%を達成しており、キャリア支援に力を入れています。毎年3月に開催される就職セミナーでは、学生が直接医療施設の担当者から説明を受ける機会を設けており、就職した先輩の参加もあることで、学生にとって進路選択の貴重な情報源となっています。卒業生の進路は多様で、看護師として市内・県内・県外の様々な医療機関に就職しています。また、保健師としての就職も高い評価を得ており、地域保健の分野でも活躍の場が広がっています。さらに、毎年平均して1名の学生が助産師の資格取得のために進学しており、より専門的なキャリアを目指す卒業生もいます。このように、本学は学生の多様なキャリアニーズに応え、高い就職率と幅広い進路選択を実現しています。

本学の看護学部では、2023年度の看護師・保健師国家試験合格率の低下を受け、詳細な分析と対策の見直しを行い、個別支援の強化や具体的な数値目標の設定など、合格率95%以上を目指した総合的な取り組みを実施しています。これらの施策を通じて、学生一人ひとりに寄り添ったきめ細かな支援を提供し、合格率の向上と将来の医療人材の育成に全力で取り組んでいます。

本学の看護学部では、国家試験合格率向上のため、チューター制度を活用したマンツーマンの指導を早期に開始し、国家試験対策委員会と連携した学習指導や生活改善を含む学習計画の策定指導を3本柱とした学生支援を強化しています。さらに、1~3年生の模擬試験時期の最適化や教員による夏期・冬季講座の充実、学務委員会やFD委員会からの情報を活用した成績低迷学生の早期把握と個別支援の実施など、きめ細かな対策を講じることで、学生一人ひとりの学習状況に応じた支援体制を構築しています。

学生生活のサポート体制

チューター制度

 チューター制度とは,学生が有意義な学生生活を送るために設けられている制度です。各学年の学生を3〜5名のグループに分け、そのグループを担当する教員が,学修や経済的な悩み,就職活動についての相談,国家試験対策,その他学生生活上の様々な問題について学生の相談に応じます。
 また欠席回数が多い学生には,担当の教員が個人面談を行い,適切なアドバイスを行います。さらに各学年のグループが集まって,上級生と下級生が交流する機会も設けています。
 チューター制度を設けていますが,相談はチューターに限らず、どの教職員でも可能です。多くの教職員及び同学年の友人,先輩,後輩とコミュニケーションを深め、充実した大学生活を過ごしてください。

オフィスアワー

 オフィスアワーとは、教員が研究室に待機し、学生の相談に応じる時間のことです。教員は、週の特定の曜日・時間をオフィスアワーに指定して研究室に在室しています。学生はその時間内に自由に訪問して、授業内容や勉強方法などについて質問や相談をすることができます。講義で質問できなかったことや、講義後に湧いた疑問などについて教員が個別に対応します。

学業生活

講義

人体の構造の授業

 人体の構造の授業は、3D解剖アプリおよびCG動画を使用し、書籍ではできない内部を観察することで、人体の構造を容易に理解し学習することができます。

演習

「基礎看護技術演習Ⅲ」

 授業は、講義と演習を組み合わせて行われます。「基礎看護技術演習Ⅲ」は、2年次前期に、主に治療を受けている患者に、治療・処置を安全かつ安楽に行う看護技術を習得します。講義で学んだ知識を基に、「採血」の演習では、採血シミュレータを用いて採血の練習を行います。学生4人が1グループとなり、教員の指導を受けながら看護技術を習得していきます。

臨地実習

急性期の臨地実習にて

看護師として活躍している先輩から、「学生時代に身につけた基礎的な知識や技術が大切になるので、今からきちんと学習してください」とアドバイスをもらいました。

急性期の実習にて

実習中に病棟で行われている臨床カンファレンスに参加しました。医師、看護師のみならず、ケースワーカーや理学療法士、薬剤師などの職種が集まり、手術を受ける患者さんの情報を交換し、必要となるケアについて話し合う場です。看護師一人ではなく、多職種との協力があって初めて看護ができるということを学びました。

取得可能な資格

看護学部では、卒業と同時に、下記の受験資格が取得できます。

取得可能な受験資格

  • 看護師国家試験受験資格
  • 保健師国家試験受験資格

※2012(平成24)年度入学生より、保健師教育課程は「選択制」に移行しました。

資格試験合格後、取得可能な資格

保健師国家試験受験資格に合格後、申請により下記の資格が取得できます。

  • 養護教諭二種免許
  • 第一種衛生管理者免許

卒業後の進路

2024年3月卒業生の進路

県内の就職先

  • 津軽保健生活協同組合 健生病院
  • 国立病院機構 弘前総合医療センター
  • つがる西北五広域連合つがる総合病院
  • 青森県立中央病院
  • 国立大学法人 弘前大学医学部附属病院
  • 医療法人弘愛会 弘愛会病院
  • 社団法人慈恵会 青森慈恵会病院
  • 青森県(保健師)

県外の就職先

  • 社会医療法人将道会 総合南東北病院
  • 医療法人社団城東桐和会 タムスグループ 東京さくら病院
  • 医療法人社団東光会 戸田中央総合病院
  • 地方独立行政法人 秋田県立病院機構
  • 岩手医科大学附属病院
  • 社会医療法人城南福祉医療協会 大田病院
  • 医療法人徳州会 湘南藤沢徳州会病院
  • 医療法人慧眞会 協和病院
  • 特定医療法人愛仁会 太田総合病院
  • 北海道旅客鉄道株式会社 JR札幌病院
  • 社会医療法人石心会 埼玉石心会病院
  • 秋田県厚生農業協同組合連合会
  • 地方独立行政法人東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院
  • 国立大学法人東北大学 東北大学病院
  • 市立札幌病院
  • 国家公務員共済組合連合会 九段坂病院
  • 社会福祉法人恩賜財団 済生会宇都宮病院
  • 独立行政法人 国立病院機構函館病院
  • IMSグループ 医療法人社団明芳会 イムス東京葛飾総合病院
  • 一般財団法人厚生会 仙台厚生病院
  • 社会福祉法人恩賜財団済生会 横浜市南部病院
  • 医療法人徳州会 湘南鎌倉総合病院
  • 医療法人清和会 奥州病院
  • 公益財団法人横浜勤労者福祉協会 汐田総合病院
  • 医療法人松田会 松田病院
  • 北海道大学病院
  • 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院
  • 医療法人友愛会 盛岡友愛病院
  • 学校法人昭和大学 昭和大学病院

進学先

  • 天使大学大学院

卒業生からのメッセージ

築舘奈央(財団法人黎明郷 弘前脳卒中センター 急性期病棟勤務)

 大学生活では、何事も主体的に前向きに取り組むことや、同じ疾患でも同じ看護はないということを学びました。今は念願だった脳卒中専門の病院で看護をし、改めてそれぞれの患者さんに合った看護の大切さを学んでいます。今はまだわからないことばかりですが、看護師として働けることが楽しく、充実した毎日を過ごしています。

清水かおり(聖路加看護大学 大学院)

 私は今、助産師になるために聖路加看護大学の大学院で日々勉強しています。大学院では個人の意見を求められます。
 弘前学院大学は小規模なので、先生方との関わりや一人ひとりのクラスメイトとの関わりが密接でした。そのため自分の考えや思いを述べる機会が多く、友人たちの様々な考え方を知ることが出来ました。勉強はどの学校でも同じ内容を学習します。重要なのはどのような人たちと学ぶかだと思います。弘前学院大学は素敵な人たちと出会える大学です。