日本語・日本文学科/文学研究科
教授
顧 偉良
(Gu Weiliang)
略 歴 | 【学歴】 上海外国語大学日本語学科卒業、日本大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了 東海大学大学院日本文学研究科博士後期課程単位取得満期退学 【職歴】 杭州大学外国語学部講師、弘前学院大学文学部講師、同准教授、同教授 現在、大学院文学研究科教授 | |||
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学 位 | 修士(文学) | |||
担当する科目 | キリスト教文化、教養演習O、中国語A~D、地域文学研究、現代文学、近代現代文学演習ⅠA・B 言語・文学・文化の基礎、卒業論文 | |||
専門分野 | 日本近代文学、日中比較文学 | |||
主な業績 | 【著書】 1.『『春水』手稿と日中の文学交流-周作人、謝冰心、濱一衛-』中里見敬編著、花書院、2019年3月 2.「新しき村」周作人が憧れていたユートピアの園『新しき村』2018年5月号、pp,6-10 3.濱文庫発見の氷心手稿に因んで―周作人と謝氷心との書簡往来、及びその他をめぐって 「『春水』手稿と日中の文学交流―周作人、氷心、濱一衛」国際シンポジウム論文集 第1冊 日本語論文編、51〜76ページ、中里見敬、潘世聖編、2018年2月 九州大学QR プログラム「人社系アジア研究活性化重点支援」 「新資料発見に伴う東アジア文化研究の多角的展開、および国際研究拠点の構築」 4.历史钩沉:有关周作人研究的几个问题―谈《春水》手稿发现周作人与冰心的交往及其他 「『春水』手稿と日中の文学交流―周作人、氷心、濱一衛」国際シンポジウム論文集、44~107ページ第2冊 中国語論文編、中里見敬、潘世聖編、2018年2月 九州大学QR プログラム「人社系アジア研究活性化重点支援」「新資料発見に伴う東アジア文化研究の多角的展開、および国際研究拠点の構築」 5.濱一衛より周作人・周豊一宛書簡8通(1936年5月9日〜1942(?)年1月30日) 「『春水』手稿と日中の文学交流―周作人、氷心、濱一衛」 国際シンポジウム論文集 第3冊 資料編、1〜9ページ、顧偉良訳、中里見敬、潘世聖編、2018年2月 九州大学QR プログラム「人社系アジア研究活性化重点支援」「新資料発見に伴う東アジア文化研究の多角的展開、および国際研究拠点の構築」 6.「世界の日本研究2017」(共著、国際日本文化研究センター、2017) 7.「周作人研究通信 第1-5号合冊本」(共著、周作人研究会、2017年1月) 8.「君子之交:蕭乾、文潔若与式丸山昇往来書簡」(共著、文潔若編譯、上海人民出版社、2015年6月) 9.「東北近代文学事典」(共著、勉誠出版、2013) 10.「百年萧乾」(共著、内モンゴル大学出版社、2010) 11.「近代の夢と知性文学・思想の昭和10年前後」(共著、翰林書房、2000) 【論文】 「周作人・豊一父子と濱一衛・ふみ夫妻の書簡往来」 『言語文化論究』52巻、pp.155-174、九州大学大学院言語文化研究院、2024年3月 執筆者:中里見敬、顧偉良、李麗君 论鲁迅小说中的“症候”、幻象以及“意志情绪化” 谈青木正儿与周氏兄弟的书信往来 『周氏兄弟研究 第2号』(査読論文)、周氏兄弟研究会(早稲田大学商学学術院内)、花書院、2024年3月、pp.163-188 少年空想小説『銀河鉄道の夜』を読む 「軽さ」の感覚、及び情緒的感性をめぐって 『弘学大語文第50号』、弘前学院大学国語国文学会、2024年3月、pp,18-35 1. 反時代的考察:一場被忘却了的小詩運動的夭折(上) ―従写生文、『古詩今譯』等談周作人的散文精神― 『紹興魯迅研究2019』、pp.257〜274、紹興魯迅記念館編、上海社会科学院出版社、2019年9月 2. 反時代的考察:一場被忘却了的小詩運動的夭折(中) 従後期創造社的方向轉変談中国現代文学的分岐点、『文化論集』第55号、「周作人国際学術シンポジウム」特集号、pp.597〜630、早稲田商學同攻會、2019年9月 3.周作人研究与史料闡釋-兼論『周作人年譜』中的日記籑改 『近代文学研究』第132期、pp.1-25、中国電子ジャーナル、微信公衆号:jindaiwenxue、2019年4月 4.濱文庫発見の冰心詩集「春水」手稿-文に関する美意識の変容及び周作人の批評精神をめぐって pp.145-168『『春水』手稿と日中の文学交流-周作人、謝冰心、濱一衛-』 中里見敬編著、花書院、2019年3月 5.小詩運動挫折、及びその行方 周作人・郭沫若・成仿吾の言説を読む pp.29-32、『郭沫若研究會報』第二〇号(郭沫若・周作人交流特集号) 日本郭沫若研究会事務局、2018年12月 6.生命与創作——巴金・蕭乾・大江健三郎(上) 近代文学研究 第97期(2018年9月) 中国国内電子ジャーナル 微信公衆号:jindaiwenxue https://mp.weixin.qq.com/s/MUQvAv38CXTpyk8Xb7OmKQ 7.生命与創作——巴金・蕭乾・大江健三郎(下) 近代文学研究 第98期(2018年9月) 中国国内電子ジャーナル 微信公衆号:jindaiwenxue https://mp.weixin.qq.com/s/e1Q9tYijlYG7vHegm60JVA 8.核時代的文学——巴金与大江健三郎(上) 近代文学研究 第111期(2018年11月) 中国国内電子ジャーナル 微信公衆号:jindaiwenxue 9.核時代的文学——巴金与大江健三郎(中・付録) 近代文学研究 第111期(2018年11月) 中国国内電子ジャーナル 微信公衆号:jindaiwenxue 10.核時代的文学——巴金与大江健三郎(下・付録) 近代文学研究 第111期(2018年11月) 中国国内電子ジャーナル 微信公衆号:jindaiwenxue 11.濱文庫発見の氷心手稿に因んで――周作人と謝氷心との書簡往来、及びその他 「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、氷心、濱一衛」国際シンポジウム論文集 第1冊 日本語論文編、pp.51-76、中里見敬、潘世聖編、2018年2月 12.歴史鉤沉:有关周作人研究的几个問題談《春水》手稿発見、周作人与冰心的交往及其他 「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、氷心、濱一衛」国際シンポジウム論文集 第2冊 中国語論文編、pp.44-107、中里見敬、潘世聖編、2018年2月 13.濱一衛より周作人・周豊一宛書簡8通(1936年5月9日-1942(?)年1月30日) 「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、氷心、濱一衛」 国際シンポジウム論文集 第3冊 資料編、pp.1-9、中里見敬、潘世聖編、2018年2月 *九州大学QR プログラム「新資料発見に伴う東アジア文化研究の多角的展開、および国際研究拠点の構築」 14.周作人が共鳴した「新しき村」の精神(『新しき村』2017年12月号、pp.4-7、2017年12月) 15.日中文化人の書簡交流にみる周作人の芸術と思想 (『世界の日本研究2017』、pp.222-243、2017年5月) 16.周作人研究の現在―『周作人年譜』日記改竄をめぐって― (『世界の日本研究2017』、pp.244-253、2017年5月) 17.周作人研究与历史文献的阐释――兼论《周作人年谱》中的日记篡改 (『周作人研究通信』第5号、pp.1-15、2017年1月) 18.周作人「一通の手紙(一九四九)(下)(翻訳)解説「苦悩の相――周作人の孤独」」 (『新しき村』2016年12月号、pp.15-20、2016年12月) 19.周作人「一通の手紙(一九四九)(上)(翻訳)」 (『新しき村』2016年11月号、pp.18-23、2016年12月) 20.「周作人研究に関する二・三のこと――周作人年譜、日記改竄をめぐって」 (『新しき村』2016年9月号、pp.9-14、2016年9月) 21.「時代を乗り越えた実篤・周作人の交流」 (『新しき村』2016年5月号、pp.14-17、2016年5月) 22.「周作人旧居と縁のある人々」 (『新しき村』2015年12月号、pp.4-7、2015年12月) 23.『万廷元年のフットボール』を読む―言語指向及び身体性をめぐって (弘学大語文第41号、pp.左1-16、2015年3月) 24.中国知識人の挫折と信念―蕭乾の思想及び軌跡をめぐって(前篇) (弘前学院大学文学部紀要第51号、pp.1-20、2015年3月) 25.中国知識人の挫折と信念―蕭乾の思想及び軌跡をめぐって “Despair and Faith of the Chinese Intellectual Over Thought Traces of Xiao Qian” (日本学術振興会学術研究基金助成、pp.1-73、2015年3月) 〔基盤研究C、研究代表者、研究課題番号:24520404、平成24、25、26年度〕 26.心の交流が導いた「発見」 (単著、読売新聞朝刊(全国版)文化欄、2015年3月31日) 27.周作人、隠れた人間像に光 (単著、朝日新聞朝刊(全国版)文化・文芸欄「東アジアの窓」、平成27年4月2日) 朝日新聞DIGITALに転載。 28.日本の著名人から手紙1400通 魯迅の弟、周作人とは (単著、朝日新聞国際報道デジタル、平成27年4月7日) 29.〈谷間の村〉における地獄の一季節 ―『飼育』を読む―(単著、弘学大語文第40号、2014) 30.わたしの生の証言(蕭乾著、解説・翻訳)(単著、弘前学院大学文学部紀要第50号、2014) 31.井上靖シルクロード詩集における言語指向 ―素朴的、始源的、直接的な指向をめぐって- (単著、『井上靖研究』第12号、2013) 32.近代中国の口語散文に与えた日本文学の影響 ―周作人の日本文学受容をめぐって- (単著、科研費基盤C報告書、2008~2010) その他、井上靖、郭沫若、周作人、大江健三郎等に関する研究多数 現在、「中国知識人の挫折と信念-萧乾文学と思想軌跡をめぐって-」 (科研費基盤C、2012~2014)を研究している。 | |||
その他 (学会社会活動、講演、受賞等) | 競争基金獲得 国際共同研究加速基金(国際共同研究教科(B)) 研究課題:周作人宛書簡の整理・目録作成と保存状態の改善 課題番号:18KK0010 研究期間:平成30~35年度 研究代表者:九州大学 中里見敬 研究分担者:顧 偉良 他4名(大阪教育大学、富士大学、近畿大学、金沢大学) 日本の各界人士による周作人宛の書簡発見に関する関連報道 ・周作人と武者小路実篤―新発見書簡から交情をたどる (聖教新聞文化欄(日刊)、単著、2015年6月3日) ・豊かな日中交流の時代―武者小路、谷崎、草野らから1400通 (毎日新聞夕刊、2015年4月14日) ・日本の著名人から手紙1400通 魯迅の弟、周作人とは (朝日新聞国際報道DIGITAL、単著、2015年4月7日) ・周作人、隠れた人間像に光 (朝日新聞朝刊(全国版)文化・文芸欄「東アジアの窓」、単著、2015年4月2日) ※朝日新聞国際報道DIGITALに転載。 ・心の交流が導いた「発見」(読売新聞朝刊(全国版)・文化欄、単著、2015年3月31日) 〔関連記事報道〕 ・朝日新聞朝刊(全国版、2015年3月25日) ・読売新聞朝刊(関東、関西、北九州版、2015年3月25日) ・毎日新聞朝刊(全国版、2015年3月25日) ・東奥日報、陸奥新報(朝刊、2015年3月25日) ・NHK弘前、青森ニュース報道(2015年3月25日) ・NHKニュース全国報道、共同通信(2015年3月26日) 中国日本文学研究会 第14回全国大会及び国際学術シンポジウム (中国・広東外語外貿大学、広州市)―大江健三郎分会場:座長(2014年8月20~22日) 日本近代文学会、日本文学協会、中国文芸研究会他 中国留日同学会優秀論文賞 日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員及び国際事業委員会書面審査員 (2011年8月~2012年7月、2012年8月~2013年7月) |
研究テーマ
大江健三郎と戦後文学
大江健三郎の作家生涯の中で、二十代の後半で書いた『個人的な体験』、三十代の終わりに書いた『万延元年のフットボール』、そして四十代の半ばで書いた『同時代ゲーム』は、共に大江文学の転換点だったのである。『万延元年のフットボール』は、故郷の森にあった出来事を素材にした、いわば村=国家=小宇宙という共同社会が初めて登場してきた小説であると思われる。「小宇宙」とは、ミクロ・コスモス、人間のことである。それは、国家よりも人間が最も大切であるという思想である。この思想は、勿論、恩師渡辺一夫のユマニスム精神に基づいたものである。
大江文学の特徴を考える場合、その独特な文体に触れる必要がある。大江の文体特徴は、彼の文学表現や同時代に対する、或いは未来に対する想像力とも深く関わっているのである。作家埴谷雄高は、「核時代の文学の力 大江健三郎について」の中で、大江健三郎の内部にある混沌たる力を、不思議な閃光を放つ「内燃機関」である、といかにもSF的な表現で形容している。つまり、それは≪人類がはじめて自己の内部で何かが燃焼していることをふと自覚した最初の原始の装置でもあり、また、この世にありとある「すべて」を推進力に転化すべき可燃性材質として「無限動力」ふうに引き受けてしまう一種未来的でもあるいわば「超」新型の内燃機関、に向きあっている》、「大江健三郎を語ることは、取りも直さず戦後三分の一世紀の日本文学について語ることだろう」とも述べている。大江健三郎を語ることの重要性が端的に言い表されていると思う。
オススメの本
大江健三郎の本
・大江健三郎同時代論集(全10巻、岩波書店)
・核時代の想像力(新潮選書)
・言い難き嘆きもて(講談社)
・「読む人間 読書講義」(集英社)
・「話して考える」と「書いて考える」(集英社文庫)