文学部 今村 かほる

研究科長・教授

今村 かほる(イマムラ カホル)

略 歴【学歴】
 昭和女子大学文学部日本文学科卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了
 同博士後期課程単位取得満期退学

【職歴】
 国立国語研究所非常勤研究員、弘前学院大学文学部講師、同助教授、同准教授
学 位 修士(文学)
担当する科目 地域研究B、日本語学概論AB、日本語音声学、現代日本語学入門、日本語学演習ⅠAB・ⅡAB
 言語・文学・文化の基礎、応用言語学、表現の技術A(書く)B(聞く話す)
 卒業論文、教科教育法ⅡB(国語)
専門分野 日本語学・方言学
主な業績【論文等】
 1.「医療、介護、保健と方言―『臨床方言学』序論―」
  (共著、科研費基盤C報告書、2012)
 2.「地域学8巻」(共著、北方新社、2010)
  :医療・福祉と方言―津軽の社会問題として―を分担執筆 
 3.「医療と方言」(単著、日本語学2月号、2011)

  他医療看護福祉と方言、学校教育における方言等に関する社会言語学的研究多数
その他
(学会社会活動、講演、受賞等)
 日本語学会、日本方言研究会、日本音声学会、全国大学国語国文学会
 県総合学校教育センター講座講師

研究テーマ

「医療・福祉と方言」「国語教育における方言と標準語・共通語」

 日本各地にある方言の数々は、その地域差が大きく、諸外国語に比較して日本語の大きな特徴として位置づけることができます。
  その各地の方言は、今や共通語化され、方言の存在価を見いだしにくくなった方言もみられます。一方で、やはり方言で話す・表現することの方が円滑に人間関係を保てるという地域社会もみられます。そんな数々の方言を調査・研究したり、これから変化していこうとする未来のことばを、学術的推論によって求めることが研究の楽しみの一つです。
  また、新たな研究分野として、方言だけでなく、それと教育との関わりに関する新しい分野を開拓しています。
  教科書や新聞・雑誌に書かれていることば・アナウンサーの話すことば・私たちが日常的に話していることばや方言、そのどれもが日本語です。しかし、実際には教科書はほとんど共通語(や標準語)で書かれていて、アナウンサーの話すことばは方言とはほど多いと感じます。
  学校で習うことばと日常的に話すことばとの間には、どんな関係があるのでしょうか?それには、きまりがあるのでしょうか?
  国語としての日本語や日本の国のことばとしての方言を、学校教育ではどのように教えてきたのかとか、教えないようにしたのかなどを、まず、明らかにしています。
  教科書のことばと自分の普段、使っていることばが違っていても、気がつかなかったとか、考えもしなかったと言う人に、是非、なぜ、気がつかなかったのかを考えてほしいと思います。
 また、医療や福祉の現場で、お年寄りの話す方言が理解できなことが原因のトラブルが増えています。方言データベースを作成したり、方言DVD教材を作成したりして、地域の抱える問題に取り組んでいます。

オススメの本

書 名岩波新書『横書き登場』著 者屋名池 誠出版社岩波書店

 日本語は、縦書きも横書きもできるという、希有な言語です。これは、私たち日本語を国語(母語)として育ってきた者にとっては「あたりまえ」のことのようですが、実は、外国語として日本語を勉強している人たちにとっては、驚きです。
  和室の壁に架かっている横書きの額をみたことがありますか?1文字ずつどちらの方向に書かれているでしょう。一見、右から左への横書きのように見えます。でも、これは右から左への1文字ずつの縦書きなんです。
  また、この本では、歴史の年表や神社の絵馬、ポスター、新聞などなど、あらゆる資料を洗い出し、日本語がいつから、どの分野で、どっちの方向に書くようになったかを現物を示して教えてくれます。
  こんなに手間と暇がかかっている本なのに、数百円。研究者ってこんなことがおもしろいんだ、よくやるな、へーっと感心してしまうくらい緻密な研究です。
  国語の教科書は右からの縦書き、その他の教科書は左からの横書き、この仕組みを何とも思わず、あたりまえに過ごしてきた私たちにとって、そのあたりまえはそんなに簡単なあたりまえではないということを、身近な問題として、でも、現物でわかりやすく示してくれる本です。