日本語・日本文学科
学科長・教授
坂井 任(サカイ ツトム)
略 歴 | 【学歴】 東京大学理学部物理学科卒業 同大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了、同博士課程修了 【職歴】 大阪大学核物理研究センター研究員、同COE特別講師 弘前学院大学文学部助教授、同准教授 | |||
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学 位 | 博士(理学) | |||
担当する科目 | 基礎演習Ⅰ・Ⅱ、キリスト教文化、情報の科学A・B、科学と現代A・B、データベースと解析の技術 データ解析演習Ⅰ・Ⅱ、基礎数学A(SPI)・C(数学検定) | |||
専門分野 | 理論物理学 | |||
主な業績 | Hダイバリオンに関する研究 1.T.Sakai,K.Yazaki and K.Shimizu,H-dibaryon,Prog.Theor.Phys.Supple. 137,121-145 2.T.Sakai and H.Suganuma,H-dibaryon matter in the Skyrme model on a hypersphere,Phys.Lett.B430,168-173 3.T.Sakai,J.Mori,A.Buchmann,K.Shimizu and K.Yazaki,The interaction between H-dibaryons,Nucl.Phys.A625,192-206 | |||
その他 (学会社会活動、講演、受賞等) | 日本物理学会 |
研究テーマ
ハドロンの物理、数理モデルの厳密解
ハドロンとは一群の素粒子を表す言葉で、原子核を構成する陽子や中性子、湯川秀樹博士のノーベル賞受賞理由となったパイ中間子がその仲間です。ハドロンはクォークとその反粒子である反クォークからできていて、陽子や中性子のようにクォーク3個からできているバリオン、クォークと反クォーク1個ずつからできている中間子だけが知られていました。一方、クォークの世界を支配する法則(量子色力学)によれば、クォークの数から反クォークの数を引いたものが3の倍数になること以外にはハドロンに含まれるクォークの個数に制限はないので、バリオンでも中間子でもないハドロンが存在してもいいのではと考えられてきました。
2002年のこと、クォーク4個と反クォーク1個からできているペンタクォークという種類の粒子を発見したという報告がありました。この発見自体は、その後高い感度をもつ装置で探したがみつからなかったという報告もあり、本当に存在するのかどうか未だに決着がついていません。しかし、この発見を契機に、バリオンや中間子以外のハドロン(多クォーク状態)の研究が進み、テトラクォーク(クォーク2個と反クォーク2個でできた粒子)に分類される数種類の粒子や前記とは別のペンタクォークの発見報告が相次ぎ、確認作業が続いています。
クォーク6個からできた粒子をダイバリオンといいます。私はダイバリオンの中でも特に存在する可能性が高いといわれてきたHダイバリオンを研究テーマとしてきました。Hダイバリオンが見つかったという報告はまだありませんが、いつかハドロンの新しい仲間になる日が来るのかも知れませんね。
オススメの本
書 名 | 重力とは何か | 著 者 | 大栗博司 | 出版社 | 幻冬舎 |
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重力はわれわれにとって最も身近な力だが、実は一番難しい。
現代物理学によれば、この世に存在する力は、重力・電磁気力・「強い力」・「弱い力」の四つに帰着される。このうち、「強い力」と「弱い力」は素粒子のレベルで働く力で、日常生活では目に見えない力である。
重力は、ニュートンの万有引力・アインシュタインの一般相対性理論の発見以来、よく分かっている力だと思われてきた。ところが、量子論と結びつけたより基本的なレベルの重力理論の構築には未だ成功していない。そうした理論の有力な候補とされているのが超弦理論であり、大栗氏もその研究者である。超弦理論は、素粒子は点状の「粒子」ではなく「ひも」状であり、この世には空間3次元と時間1次元の他に隠れた六つの次元があるとする摩訶不思議な理論である。しかし、四つの力を一つの理論で扱える究極の統一理論の夢がかけられている。
この本では、この世界がどのようにできているかを科学者がいかに明らかにしてきたか、これから解かれるべき謎は何かを重力を通じて見ている。
もちろん、超弦「理論」とはいうものの、今はまだ「仮説」である。他の理論が正解にたどり着くこともあり得る。実際、余剰次元は不要であり、その実験的証拠もあるのだ、という意見もある(中西襄「余次元は物理として意味があるだろうか」『素粒子論研究・電子版』Vol.6、2010年)。それもまた科学の発展のプロセスの一つである。